「アサルトサヴァイブへの道」第2回

|

どうも、アートディンクの八木です。
さてさて「アサルトサヴァイブへの道」第2回。
今回は『ガンダムバトルロワイヤル』です。
自分にとっては思い入れの深いタイトルなのでちょいと長くなってしまいましたが、ご容赦くださいませ。

第2回『ガンダムバトルロワイヤル』の巻

(承前)
「今度『タクティクス』の続きやることになりそうなんだけど、八木ちゃんガンダム好きだよね?」
「はあ、まあ、小学校の卒業祝いに叔母に記録全集全5巻をねだるくらいには」
「それはよくわからんけど、プロデューサーやってみる?」
「へ?」
「じゃ、そういうことでよろしく」

若干脚色はございますが、なんとこんな感じで次作の制作プロデューサーに任命されたのであります。
それまでちょいと体調を崩しておりまして軽めの仕事をしていた私には久々の大仕事。
しかも小学校から中学校の多感な頃に多大な影響を受けて今にいたる
あの『ガンダム』のゲームのプロデューサーを自分ができる。
その時の気持ちといったらもう、嬉しいやら恐いやら慌てるやら、
もうわけがわかりませんでした。

しかし、そうとなればうかれてばかりはいられません。
まずは『タクティクス』の良かったところ、悪かったところをみなで徹底的に洗い出し、
今回はこうしようああしようという議論の応酬。
そこで出た主な内容を抜き出しますと……

・スピード感のある戦闘は好評だったから活かす。
・一通りミッションをクリアしてMSを全部集めるとやることがない。
・ロックオンがやりにくい。

などなど。まあ実際にはもっと細かいことが山ほどあったのですが、
こういった反省を元に次作でやりたいことを整理していきました。

こうした中で一番大きな変更点は、やはりMSのチューンが可能になったことでしょう。
ミッションをクリアするとチューンポイントがもらえる。ポイントを使ってMSを強化する。
再度ミッションに出てで自分のMSが強くなったことを実感する。
このサイクルができたことで、ゲームの魅力が飛躍的に高くなったのではないかと自負しています。
まあ、自分のアイディアではないのですが(笑)。

さてさてそうやって実際に『ロワイヤル』の開発に入っていくわけですが、
細かいことは実ははっきり覚えておりません。無我夢中だったものでして。
ただ、とにかくみんなで議論しまくったことだけは良く覚えています。
時にはアイディア出しで和気藹々と。また、時には意見が対立してケンカも辞さないくらいエキサイトして。
そうこうしながらMSのモデルができ、ミッションが作られ、ゲームは次第に形になっていきます。

開発も終盤になってくると、テストプレイと同時にゲームバランスの調整が問題になってきます。
これは毎回苦労するところですね。
で、『ロワイヤル』の際に問題になったのはまず『サイコガンダム強すぎないか?』。
『ロワイヤル』で初めてIフィールドが追加されたのですが、なんとこれがビームを完全無効化するという凶悪なしろもの。
Iフィールドゲージなどという生易しいものはありません。効くのは正味実弾のみです。
しかも下手に近寄ると一撃くらって即死。飛んでいるガルダに乗って逃げてもしつこく追ってきてパンチ。
宙に舞う自機と青い空。これは議論になりました。

しかし、あの黒い巨体がノッシノッシと迫ってきて、
強烈な攻撃を繰り出す様はまさにサイコガンダムの恐ろしさを表現しているので、
下手な弱体化はしたくない。むしろすがすがしいくらいのヤラレっぷりは笑うしかないくらい。
どうしようかと悩んでいたのですが、そのうち遠くから攻撃しているとMA形態に変形してのんびり近づいてくる、
という攻略法が編み出されました。攻略法があるならいいでしょ!と英断を下し、
あの凶悪なサイコガンダムが生まれたのです。

もうひとつ難易度が問題になったのはミッション「重力からの解放」です。
『ロワイヤル』をプレイされた方にはお馴染みの最後の難関ミッションです。
これがとにかく難しい。ビグザムにやられ、エルメスにやられ、ジオングにやられ……。
とにかくやられる。クリアできるの? という声もあがったくらいです。
これもどうしようか悩んでいたのですが、
テストプレイヤーや開発スタッフの一部からチラホラ「クリアーできた」という声が聞こえてきました。
しかもその男たちはみな一様に達成感に溢れた顔をしていました。
これはありだな、と思い、結局そのままの難易度でGOしました。正直に言います。
自分もクリアーできたのは発売後のことでした……。
でも、やられては攻略法を考えて少しずつ先に進み、またやられるの繰返し、
古き良きゲームの原点を楽しめるミッションだったのではないかと思います。

そうして全ての作業を終え、迎えた発売日。
どうやら好評を持って受け入れられているらしいという噂を聞き、ホっとしたものです。

さてさて無事発売もされ、『タクティクス』にも増して楽しく遊んでいたらある日、部長に呼ばれて……。
(続く)