開発の現場から 第3回「あったほうがいいけど、なくても問題ない」

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承前
てなわけで方針定まり開発はスタートいたしました。

開発機材も会社に到着。
スタッフも次々と動員され、開発作業は本格化していきます。
今回は期間が短かいので細かくパート分けして大勢のスタッフで分担しながらの開発になりました。
その中でも目玉になるのはやはり戦闘シーンでの立体視です。
いまかいまかと待ち続けたある日、
担当プログラマーから「ガンダムの表示ができました」と連絡を貰いました。

その連絡が待ち遠しかったのには、理由があります。
ここでひとつ。立体視(以下、3D)についての個人的所感を。

ニンテンドー3DSに限らず、テレビ・映画などで
近年3Dを売りにするものが増えてきているのはみなさんご存じの通りです。
わたしも映画を見たり、体験コーナーで家庭用3Dテレビを体験してみたりしましたが、
正直あまりピンと来てはいませんでした。
あらかじめ3Dを意識して作られた映画はまだしも、既存の映像を後から3Dにしたものは
「別に3Dにしなくても」というものが多く、あまりいい印象を持っていたとはいい難い状態でした。

いくつか見た映画の中では『ヒックとドラゴン』で
ドラゴンたちが岩場を飛翔するシーンが最も印象的でした。
スピード感とも合わせて「3Dで見てよかった!」と強く思ったシーンです。
しかし、「絶対に3D表示が必要か」と聞かれると
「あったほうがいいけど、なくても問題ない」という感覚は拭い切れませんでした。

そんなわけで、目玉の内容でありながら
個人レベルではやや斜に構えた見方をしていた3D表示に対して、
とにかくこの目で見たくてしかたがなかったのです。
しかし、件のプログラマーの席で初めて開発機材上で3D表示されたガンダムを見た瞬間に、

「ああ、これが3DSの表現なんだ」

と、とても興奮しました。
ひと言で言うと"臨場感"の違いが際だっていたのです。
まだガンダム1体が動かせるだけ。
敵MSもいなければ、モデルもマップもエフェクトも本番用ではない。
そんな状態ではありましたが、奥行の感じられる空間でガンダムが動く姿、
ビームライフルの軌跡が遠ざかる様は、
"写実的"とは異なる意味での"リアル"な感覚を与えてくれたのです。

そして、試しに3D表示を切ってみると、なにか物足りない。
「あったほうがいいけど、なくても問題ない」という言葉が、
自分の中で違った意味を持った瞬間でした。
3Dボリュームで調節できて2D表示にもなるので、「なくても問題ない」のは当然のこと。
しかし、3D表示はとても気持ちよいものなので
「あった方がいい」の魅力を最大限引き出すべきだ、と。

そして何よりも、この感覚を伝えるために早く完成させたい!
皆さんにこの感覚を味わってもらいたい! という気持ちも湧きあがってきました。
ゲームとしてはまるで形を成していない段階でしたが、
今回のゴールがはっきりと見えた瞬間だったと言えるでしょう。

とはいっても現実には、まだテスト表示がやっとこさできた段階です。
ここから完成に至るまでには
まだまだいろいろと努力が必要なのでありました……。
(続く)